対日ビジネスガイド|シンカ・マネジメント 取締役 ポール・スミス
日本でのビジネス関係を成功させたいと考えている人々にとって、日本のビジネス慣習を理解し、尊重することは重要なことです。 本総合ガイドは、日本での生活や仕事、日本リーン改善研修の実施、またシンカ・マネジメントのチームとともに対日ビジネスを行う企業の支援に携わってきた私自身のこれまでの個人的な経験に基づき、日本のビジネスマナーの重要な側面について包括的に紹介するものです。
日本のビジネスマナーと文化に関する本ガイドは、以下に該当する企業様や個人の方々にとって、有益な情報を提供するものであると確信しています。
- 日本市場に進出している、または進出を検討している外国企業
- 日本人の同僚を理解し、良好な関係を築きたいと考えている外国人スタッフを抱える日系多国籍企業
- 日本の組織に買収された、または買収される予定の企業
- 日本の代理店やパートナーとの提携を検討している企業
- 日本または日系多国籍企業への就職を希望する個人

For companies considering formal training for staff, Shinka Management offers an onsite and online Japanese Business Etiquette training program. Shinka Management also provides a range of support services for government and industry association-led trade missions and business delegations to Japan.
目次

日本のビジネスマナーと文化
日本のビジネスマナーを理解することは、まるで別世界に足を踏み入れるような体験に感じられることがあります。 最初は難しく感じられるかもしれませんが、ちょっとした洞察力と練習を積めば、日本の人々と効果的な関係を築くことができるようになります。
実際のところ、日本のビジネスマナーは、日本のビジネス・プロフェッショナルにとっても難しいテーマなのです。 東京の一般的な書店に行くと、ビジネスコーナーにはビジネスマナーや会議でのマナー、ビジネスシーンで使用する敬語についてなど、日本のプロフェッショナルなビジネス交流をサポートするための書籍が棚いっぱいに並べられています。
また、日本でキャリアをスタートするほとんどの日本人は、入社研修の一環として、ビジネスマナーやホスピタリティに関する広範囲にわたる研修を受講します。 社員が、年上の同僚や顧客、一般社会を前に、どのようにコミュニケーションをとり、行動すべきかを理解することは重要なことであり、このような観点から、日本の産業界全体では、これらの研修が一般的に実施さてれいるのです。
多くの外国人にとって、日本に住んだり日本企業で働いたりしない限り、日本のビジネスマナーをマスターするのは難しいことかもしれません。 さらに難しいことには、ほとんどの日本人は(少なくとも表面上は)失態に対して寛容であり、意図せずに誤った判断を犯した外国人に対し、その失態を指摘することで恥をかかせるようなことはしない、ということを覚えておく必要があります。 このため、私たちはほとんどの場合、ミスに気付くことができず、間違いから学ぶということができないのです。
私たちが日本のビジネス習慣やマナーを習得できるまでには、まだ何年もかかるかもしれませんが、これらについて十分な知識と意識を持つことで、日本人と接する際の効果を大幅に向上させることが可能です。
本稿は、私が日本に住み始めた最初の頃に把握できていれば良かったなと思うことを記載した総合ガイドです。 本ガイドを通じて、皆さんが日本の社会とビジネス文化の複雑さをうまく切り抜け、私が過去30年以上にわたって、日本の人々と共に過ごし、仕事をし、ビジネスをしてきた中で犯してきたような多くの失敗を避けるために必要不可欠な知識を提供できれば嬉しく思います。

日本のビジネス文化の基本を理解する
ここで紹介する概念は日本のビジネス文化の基本をなすものであり、これらを理解することは、日本人と接する際に遭遇する多くのルールや行動を理解する上で大いに役に立ちます。
ヒエラルキー構造
一般的な日本の社会と同様、通常、日本の組織は年功序列や年長者が非常に尊重されるヒエラルキー構造(階層型の上下関係がある構造)を有しています。 ヒエラルキー型組織における自分のポジションは、通常、入社年と自らの役職や肩書きの組み合わせに基づいて決定されます。
また、企業間にもヒエラルキーが存在し、最も重要となるのが、サービスや製品の提供者とその顧客との関係です。 ほとんどの文化がそうであるように、お客様は神様であり、個人の行動や言動はそれを反映したものである必要があります。
ヒエラルキー、そしてヒエラルキーの中での個人の位置は、どのように話しかけられるか、どの程度の丁寧な言葉が使われるか、また座席の配置や身体の動き、気配り、同意など、人々の交流のほとんどすべての側面に影響を与えます。
話し言葉
日本では、言葉遣いは、他者に対する礼儀正しさと自らの謙虚さを示すために注意深く使い分けられます。
日本語で相手を尊敬するために使用する言葉は「敬語(けいご)」と呼ばれます。 敬語には大きく分けて3つの形があります。
- 尊敬語(そんけいご):話し掛けたり、話題にしたりする相手の地位を高め、その相手に対して礼儀正しさを示すために使われる言葉。
- 謙譲語(けんじょうご):聞き手や聞き手のグループ・仲間に対して、話し手や話し手のグループ・仲間の地位を相対的にへりくだらせるために使われる言葉。 謙譲語は、自分の行動やグループの行動に対する謙虚さを表現するときに使われます。
- 丁寧語(ていねいご):話し手と聞き手の社会的地位や関係に関係なく、一般的なフォーマルな場面で使われる言葉。 丁寧語は、中立的な立場で敬意と礼儀正しさを示すために使われ、ほとんどの社会的な交流の場面に適している言葉です。
プロフェッショナルな場面では、地位の違いがそうでないことを示さない限り、通常は、丁寧語を使うことが期待されています。 外国語として日本語を学ぶ人の多くは、一番使用される敬意を表す言葉が丁寧語であるため、まず初めに丁寧語を使用して話すことを学びます。
この他に、友人や家族との会話など、形式ばらない場面で使われるカジュアルな日本語もあります。 カジュアルな日本語は、部下など、ヒエラルキー構造において自分より下位に属する人々に呼びかけるときにもよく使用されます。
グループ志向とコンセンサス
日本は集団主義的な社会であり、日本のビジネス文化では集団の調和とコンセンサスが重視されます。 意思決定は集団で行われることが多く、個人の意見はしばしば集団の利益に従属します。
このアプローチには、一体感を醸成し、対立を最小限に抑えるという利点がある一方で、外国人が日本のビジネス文化のこの側面に対処する場合には、しばしば苦労を強いられる、以下のような潜在的なマイナスの側面もいくつか存在します。
- 意思決定の遅さと非効率性
- 反対意見の抑制
- 限定的な個人的イニシアチブ
- 変化への適応の難しさ
- 集団思考に陥りやすく、非合理的または機能不全な意思決定結果をもたらす傾向
このようなマイナス面は大きいながらも、多くの日本企業は、コンセンサスによる意思決定とこれらの問題を軽減する他の戦略とのバランスをとりながら、効率的に事業を運営しながら競争力を維持しています。
また、意思決定における合意形成アプローチには時間がかかる場合がありますが、いったん合意に達すれば、それを補って余りある円滑さとスピードで、ものごとが実行に移されることが多いのも事実です。
人間関係の重要性
強固で長期的な人間関係の構築は、日本のビジネスの基本といえます。 信頼と相互尊重が重視されるため、確かな信頼の基盤を築くため、しばしばビジネス取引に先立って、社会的な交流が行われます。
長期的なパートナーシップを重視するということは、ビジネス上の交流が単なる取引ではなく、相互の成功と理解への幅広いコミットメントの一部であることを意味しています。 このアプローチは、長期的な関係よりも目先の利益を優先する一部の欧米のビジネス慣行とは対照的なものです。
日本市場への参入や日本のパートナーとの関係構築を目指す外国企業は、関係を構築するために忍耐強く時間を掛けることが重要です。 最初の会合は、多くの場合、自己紹介や「お互いを知る」という目的のためだけに開催されることがあります。 企業は、最初の会合の際に意向を示すことはできますが、正式な提案や要望を提示するには、次の会議まで待つのが望ましいでしょう。
リスク回避
日本企業はリスク回避型で、安定性と予測可能性を好む傾向があります。 この慎重なアプローチは、(稟議や根回しといった概念を含む)コンセンサスに基づく意思決定プロセスにも反映されており、欧米の基準に比べて時間を要し、より広範な調査やデータの共有、計画が必要になることがあります。

日本でのビジネス会議の準備
日本でビジネス会議を成功させるためには、準備、文化的なニュアンスへの配慮、そして敬意を持ったアプローチが必要です。 日本のビジネス文化における期待や規範を理解することは、強固な関係を築き、有利な結果を得る上で大きな違いをもたらします。
リサーチと準備
日本でビジネス会議を成功させるためには、徹底した準備が重要となります。 相手方や相手の会社、また文化についてリサーチしてください。 相手のビジネス慣行や市場での立場を理解することは、あなたのコミットメントと敬意を示すものとなります。
誰と会うのか(名前、役職、相対的な上下関係)を事前に正確に理解しておくことは良い習慣であり、一般的に、会議の前に参加者の名前と役職を尋ねることは失礼には当たりません。 このような情報は(プレゼンテーションを含む)会議の内容を、その場にいる人々の役割に合わせて適切に準備するのに役立ちます。
個人的な経験ですが、このアドバイスに従わなかったために、ホスト企業の2、3名の人々との会合を予想して会議室に入ったところ、実際にはより多くの参加者が集まり、フォーマルなプレゼンテーションを期待されていたという失敗に何度も直面してきました。
実務的な観点からも、会議の前に名前と役職を知っておけば、発音でつまずいたり、ホスト側の上下関係を識別する際の難しさを避けることにも役立ちます。
会議の日程調整
会議の予定は余裕を持って立て、出席する数日前に確認するようにしましょう。
会議に参加する際には、時間厳守が非常に重視されます。 主催者の時間を尊重するため時間通りに到着するか、できれば数分前に到着するようにしましょう。 日本では、時間厳守と準備を重視する「5分前行動」という考え方がよく知られ守られています。 この原則は、ビジネス会議や授業、社会的な会合などの予定されたイベントには、少なくとも約束時間の5分前には到着することを指しています。 この行動を通じて、相手への敬意を示し、準備を整え信頼性を示し、遅延の可能性に伴うストレスを軽減することができます。
ミーティング会場
ビジネス会議は、オフィスやレストラン、カフェ、あるいは伝統的な茶室など、さまざまな場所で行われます。 会場の選定は主催者によって行われ、その会場は会議の形式や目的を反映する場合があります。
日本で会議に出席する場合、事前に会場の場所をしっかり把握し、確認しておくことが大切です。 会議の場所や移動時間を正確に把握するため、実際の会議の時間や日程に先立ち、会場を訪れてみることも有益なことです。 Googleマップは日本で広く使われており、最新の位置情報、ストリートビューの画像、公共交通機関の情報を提供してくれます。
日本の住所制度
日本の住所制度は他の多くの国の住所制度と異なるものです。特に個々の建物や家屋の番号は、通りではなく、その建物が属する区画に従って割り当てられています。 この住所制度をさらに複雑にしているのが、建物や家屋が必ずしも区画内の物理的な位置順で番号付けされているわけではなく、それらが設立された時期と関連する年代順に基づいて付けされている場合があるという現実です。
オンライン会議
日本人とオンライン会議をする際のマナーは、対面会議の際のマナーと似ています。 会議を主催する場合は、5分から10分前にオンライン会議室を開くのが良いでしょう。 日本からの会議出席者が早めに会議に参加しても驚かないでください。
大抵の場合、会議室や静かな場所で開催するよう準備をし、会議中はビデオ配信をオンにしておくことをお勧めします。日本では一般的に、顔を見せることは誠実さの表れであり、対面で話すことが信頼関係の構築に役立つと考えられています。 世界中のクライアントやパートナーとオンライン会議を行なってきた個人的な経験に基づくと、最も頻繁にビデオ配信をオンにして会議に参加するのは日本人です。 実際、日本人の参加者がビデオをオフにしているのは稀です。
また、コロナ禍においては、オンライン会議に参加する日本人が(たとえ密閉された会議室で一人で座っている状況でも!)マスクを着用しているのは普通でした。 パンデミックの最悪の時期が過ぎ去った現在、このような状況はもはや一般的ではありませんが、風邪やインフルエンザに罹患した参加者がマスクを着用していても驚かないでください。

日本のビジネス会議でのマナー
座席の配置
フォーマルな会議では、座席の配置はヒエラルキー(上下)関係によって決まります。 最も上位の者がテーブルの先頭に座り、他の者はその地位に応じて着席します。
二つの企業間で会議が行われる場合、一般的に主催者は部屋の入口から最も遠い側にゲストを案内します。 この側は上座と呼ばれ、名誉ある場所と考えられています。 ゲスト側は、一般的に、自ら率先してこの位置に着座するのではなく、主催者側に案内されるのを待つべきとされます。
冒頭の挨拶
会議は多くの場合、信頼関係を築くための社交辞令的な雑談から始まります。
ビジネスの話しにいきなり飛び込むのは避けるべきです。 代わりに、天気や出張の旅程、最近の出来事など、差し障りのない話題で軽い会話を交わすようにします。
プレゼンテーション形式
会議でプレゼンテーションを行う場合、聴衆が異なる文化圏の出身であり、英語を母国語としない人たちであることを念頭に置き、明瞭、簡潔かつよく整理されたプレゼンテーションを行われなければなりません。 論点を補足し理解を助けるため、スライドや配布資料などの視覚的な資料を活用しましょう。 また、日本人は詳細にわたる質問を好むので、細かい質問にも対応できるように準備しておくようにしましょう。
多くの場合、プレゼンテーションを専門的に日本語へ翻訳することが役立つ場合があります。 特に技術的な内容のプレゼンテーションは、母国語で視聴していても理解が難しい場合があります。 第二言語として英語を使い、口頭(発表者のスピーチ)と文字(スライドの内容)のコミュニケーションを同時に理解しようとすると、この困難がさらに増すことになります。 箇条書きや不完全な文章で構成されたスライド内容を翻訳する場合、自動翻訳やAIによる翻訳に頼るのは避けましょう。このようなサービスを使用しての翻訳では文脈の把握に苦労することがよくあるからです。
発表者は、自国で行う場合と同じように、経験年数と関連性の両方を考慮して選ぶ必要があります。 しかし、私の経験では、グループ内で、ゆっくり、明瞭で、理解しやすい言葉を使ってプレゼンする才能のある人を見極めることも重要といえます(これには経験と練習が必要となります)。
弊社では、クライアントと一緒に日本の聴衆向けに提案やプレゼン資料を作成する際には、既存のプレゼンスライドをそのまま使用することは避け、内容を簡素化し、必要に応じてスライドに日本語を追加したり、内容を完全に翻訳したりするようアドバイスしています。 これらの準備を経た後に、発表者と一緒に、プレゼン内容を発表する際の練習やコーチングを行い、彼らがゆっくりと話し、簡略化された言葉を使用できるよう指導をしています。
なお、逐次通訳者を利用する場合には、通訳に必要な時間を考慮し、通常、発表内容を英語で行うプレゼンテーションの半分近くまで短縮する必要があります。
要注意! 最も声の大きい人が意思決定者とは限りません。
会議中は、最も発言が多い人や最も多く質問をする人に注意を向けたり、敬意を払ったりしたくなることでしょう。 しかし、このような言動は、必ずしも彼らが重要な意思決定者であることや、上下関係の最上位に位置することを意味するものではありません。 多くの場合、この個人が単に英語が最も流暢な人である(チームの若手メンバーの一人であることが多い)というだけの場合があります。 帰途に着く前の挨拶やお土産を手渡す際、またフォローアップのメールを書く際には、このことを念頭に置き、適切な人物に敬意を持って効果的に対応できるようにしましょう。
私は、重要な意思決定者が、まるで眠っているかのように見える会議に何度も出席したことがあります。 しかし、彼らはたいていの場合、話しを聞いており、ひとたび何か興味を引くことが話題に上れば、再び会話に加わってくる可能性があります。
会議後のフォローアップ
日本人と会議をした後のフォローアップは、関係を維持し、敬意を示し、論点や責任の範囲について共通の理解を得るために極めて重要です。
通常、会議から24時間以内にお礼のメールを送り、相手の時間とおもてなしに対する感謝の意を表し、会議中に扱われた重要な論点や決定事項があればそれらを記すようにします。 上手くフォローアップを行うことで、合意した要アクション事項やその事項に対する責任者や期限を確認することにも役立ちます。 また、フォローアップのメールをすることで、会議中に十分な対応ができなかった質問に対する説明や回答など、さらなる情報を提供する良い機会にもなります。

挨拶と自己紹介
お辞儀
お辞儀は日本の伝統的な挨拶です。 お辞儀の深さや長さは、尊敬の度合いや当事者間の関係によって異なります。 より深く長いお辞儀ほど、敬意の意味が強まります。
ビジネスの場では、外国人が日本人に初めて挨拶する時や名刺交換の時、贈り物に感謝する時、来客を見送る時などに、簡単なお辞儀をすることは良いアクセントとなります。
大抵の場合、ビジネスシーンでは、お辞儀を過度に長くしたり、深くしたりする必要はありません。日本でのビジネス経験が浅い外国人による、お辞儀のし過ぎは、時に滑稽に映ることもあるので避けるべきでしょう。 外国人として、日本人であるかのように振舞うことを期待されているわけではありませんし、必要以上に努力しすぎることは、時として意図した効果とは逆の結果を招くこともにつながります。
握手
お辞儀をする習慣がある一方、外国人とのビジネスの場面では、握手が一般的になりつつあります。 軽いお辞儀と握手を組み合わせることで、敬意のこもった挨拶をすることができます。
自己紹介
自己紹介をする際には、まずフルネームを述べ、その後に会社名と役職を伝えます。 日本人の相手に対しては、敬意を表すために苗字の後に「さん」をつけて呼ぶのが一般的です(例:田中さん)。
くれぐれも、自分の名前の後に「さん」をつけないように気をつけてください。 また、一般的に、自分自身に対してだけでなく、同じグループ(会社や組織など)内の人についても謙虚であるべきであり、そのため、同僚を他者に紹介したり言及したりする際には、たとえその同僚が自分よりも上下関係が上であっても、その同僚の名前の後に「さん」を付けるのは避けるべきです。

日本の名刺交換マナー
名刺は日本のビジネスマナーに欠かせないものです。 名刺は個人のアイデンティティと会社を表すものであり、名刺交換は正式な手続きと言えます。 国によっては紙ベースの名刺から脱却しようという動きもありますが、日本ではそのような動きはほとんど見られません。
日本への出張を計画しているのであれば、必要だと思われる枚数より多めの名刺を持参し、もしまだ名刺入れを持っていないのであれば購入することをお勧めします。
ポール・スミスの名刺入れ
好意的な偏見かもしれませんが、私の名前からして、個人的に好きな名刺入れのブランドは、イギリスのファッションブランド、ポール・スミスのスタイリッシュなラインのものです。 このブランドは日本で絶大な人気を誇っており、私が自己紹介をすると、必ずと言っていいほど、このブランドについてのコメントで迎えられます。
日本では、私の名前を忘れる人はほとんどいないので、私は人々の名前を覚えるため懸命な努力をしなければなりません!
名刺の日本語翻訳
シンカ・マネジメント では、市場参入を目的に日本を訪問される方々、特に上級管理職や営業・マーケティング担当者の方々に、名刺を日本語に翻訳することをお勧めすることがよくあります。
名刺を翻訳する目的は、日本人に名刺の内容理解を促すためではありません。 英会話に苦労する日本人は多くいますが、日本人のほとんどは英語の名刺の詳細を読むのには全く問題ありません。
名刺を翻訳する本当の目的は、相手側に、準備が万端であることを示し、日本市場に対するコミットメントをさりげなく示すことにあります。 そうすることで、これまで先方を訪問しながらフォローアップや継続的な関係を構築してこなかった他の外国人との差別化を図ることができます。
AIを活用した翻訳機能は急速に進歩していますが、弊社では、必ず日本人(日本語ネイティブ)が翻訳を行い、名刺を印刷する前にはアートワーク(フォントの選択、スペーシングなどを含む)をチェックすることを、常にお勧めしています。 名刺の翻訳と校正は、シンカ・マネジメントが提供する日本ビジネス文化研修プログラムの一環として行っているサービスです。また、コピー&ペーストのミスや不適切なデザインが選択されないよう、クライアント様側のグラフィックデザイナーにはほぼ毎回アートワークの調整をお願いしています。
名刺を渡す
名刺を渡す際には、相手がすぐに読めるよう、文字が相手側を向くように名刺の角を持ち、両手で差し出すようにしましょう。 もし、名刺に日本語の面がある場合には、そちらの面を上にして渡してください。 また、名刺を差し出す際には、軽くお辞儀をして、丁寧に自己紹介をしましょう。
名刺を受け取る
名刺を受け取る際には、両手で受け取り、相手の名前、肩書き、その他の関連情報を確認するようにしてください。
また、受け取った名刺はすぐにしまわずに、会議中は目の前のテーブルに置いておきます。 名刺はその持ち主と会社を象徴するものなので、敬意を持って扱うようにしましょう。 名刺の上に文字を書き込んだり、他のものを名刺の上に置いたりしないようにしてください。
会議が終わったら、受け取った名刺は名刺入れに入れるようにしましょう。 また、受け取った名刺は、決して腰より下のポケットに入れないでください。

日本のビジネスコミュニケーションマナー
日本の国際ビジネスの場では、英語の書き言葉は比較的広く理解されますが、日本のビジネス・プロフェッショナルの多くは、海外での生活や仕事の経験がない限り、口頭でのコミュニケーションに苦労することがあります。
日本人と英語を使って取引をする場合、相手が英語を第二言語として使用していることを覚えておくことが重要です。 このため、言葉をゆっくりと話し、簡略化する必要があり、相手が理解しやすいように様々なステップを踏む必要があります。
重要な会議のために通訳を雇うことは、コミュニケーションを円滑にし、あなたのコミットメントを示すことにもつながります。
また、理解を助けることにはあまり役立たないかもしれませんが、基本的な日本語のフレーズを学ぶことは、相手に敬意と努力を示すための有効なアプローチとなるでしょう。
非言語コミュニケーション
ボディランゲージや表情といった非言語的な合図は、日本人のコミュニケーションにおいて重要な役割を果たしています。 会話の文脈を完全に理解するために、微妙なジェスチャーや表情に注意を払うようにしましょう。 日本人と会う外国人の多くは、会議中に非言語的なコミュニケーションを完全に理解するのに苦労するため、通訳や日本人の同僚と協力して場の空気を読む必要があるでしょう。
礼儀正しさと間接的なコミュニケーション
礼儀正しさと間接的な表現は、日本のコミュニケーションにおける重要な側面です。 日本人と対話をする際には、対立的な言葉遣いを避け、反対意見や否定的な意見は優しく間接的な方法で表現するようにしましょう。 日本人が使用する「それは難しいです」や「検討します」といったフレーズは、往々にして否定的な回答を意味しています。

翻訳者・通訳者と協働するために
日本でビジネスを行う際、特に日本語が流暢でない場合には、プロの翻訳者や通訳者と協力することが非常に重要になります。 特定の用語や背景を理解する、自分の業界に精通した人を選ぶようにしましょう。
翻訳者と通訳者の違いをご存知ですか?
異文化間コミュニケーションで翻訳者と通訳者が果たす役割の違いを理解することは重要なことです。 この違いを理解することで、要件に応じた適切な選択をすることが可能となります。
翻訳者と通訳者の違いは、主にその仕事の媒体とコンテキストにあります。
翻訳者は、文書や書籍、ウェブサイトやマーケティング資料などの文章を扱います。 翻訳者には、優れた文章力と、原文のトーンやスタイル、意図を伝える能力が求められます。 翻訳者は、通常、パソコンやその他のツールやリソースを使いながら単独で仕事をし、比較的多くの時間を割いて作業内容を磨きます。
一方、通訳者は話し言葉を扱う仕事であり、会議やミーティング、診療予約、法的手続きなどの場面で、異なる言語を話す者同士のリアルタイムのコミュニケーションを円滑にします。 通訳者には、強いリスニング力とスピーキング力、そして、話し言葉をその場で素早く正確に訳し出す能力が求められます。 彼らは、効果的なコミュニケーションを行うために、文化的ニュアンスやボディーランゲージを把握する必要があります。 通訳者は、通常、プレッシャーのかかるリアルタイムの環境下で働くため、突発的な状況に効果的に対処するための迅速な思考力と適応力が求められます。
通訳者へのブリーフィング
通訳者には、ビジネスに関する詳細な情報や会議の目的、使用される可能性のある専門用語や業界用語、プレゼンテーションのスライド、その他の関連資料を事前に提供するようにしてください。
通訳業務の数日前にこれらの情報を提供することで、通訳者が正確かつ効果的にメッセージを伝えるのが容易になります。 通訳者は、通訳準備をサポートするために動いてくれるあなたの配慮に感謝することでしょう。
会議中
会議中は、通訳者が正確に訳出できるよう、適度なペースではっきりと話すようにしてください。 また、通訳者がメッセージを伝える機会を確保できるよう、頻繁に間を取るようにしてください。 また、話す際には、通訳に話しかけるのではなく、日本人の相手に向かって直接話しかけるようにしましょう。
ミーティングを終えたら
相互の理解を深めるため、通訳者と会議の要点を振り返り確認してください。 こうすることで、誤解を解消し、主要なメッセージの認識を強化するのに役立ちます。 また、通訳者にフィードバックをすることで、今後のやり取りをより良いものにすることができます。 通訳者に、会議がどのように進んだか、視覚的な合図を拾ったかどうかを確認し、フィードバックを求めるのもよいでしょう。

ドレスコード
日本のビジネスウェア
日本のビジネスシーンでは、保守的でプロフェッショナルな服装が一般的です。 男性は、ダークスーツに白いシャツ、ネクタイが一般的で、女性はフォーマルなビジネススーツかドレスを着用します。
最近、特にコロナ禍後は、特に男性がオフィスに出勤する際にネクタイを着用しない等、日本人のフォーマルな服装がやや緩和され、より快適な服装が好まれるようになったようです。 しかし、日本でビジネス会議に出席する場合は、やはりフォーマルな服装を着用されることをお勧めします。
季節ごとの服装
湿気の多い夏と寒い冬を考慮し、日本の季節に合った服装をするようにしましょう。 夏場は軽量で通気性の良い素材が適していますが、冬場は重ね着や防寒着が必要です。
日本の夏は特に大変です。 2005年、日本政府は夏季のエネルギー消費を削減するため、クールビズ・キャンペーンを導入しました。 このプログラムでは、政府職員に夏場の状況に適した服装の着用が義務づけられ、スーツのジャケットやネクタイ着用の必要がなくなりました。 幸いなことに、このアプローチはその後、日本の大半の組織で採用されるようになりました。
夏期にビジネスで日本を訪問する際は、初対面には依然フォーマルな服装で臨むことが好ましいですが、関係が深まってからの再訪問の場面では、ほとんどの業界でクールビズのガイドラインに従った服装を着用して問題ありません。

日本での贈り物のマナー
日本のビジネス文化では、特に初対面の際や協力関係が成功を収めたことを祝う際に、贈り物をするのが一般的な習慣です。
日本のクライアント、パートナー、サプライヤーとのミーティングに出席する場合は、贈り物を用意し、事前にこの日本の贈り物マナーガイドを一読されることをお勧めします。 企業間(B2B)取引の場面では、通常、贈り物は訪問する側やゲスト側が提供します。 ホスト企業は、ゲストの訪問中におもてなしをすることでこの親切に報います。
正しい贈り物選び
贈り物を贈る目的は、敬意や感謝、そして関係を発展させたいという思いを示すことにあります。 過度に豪華な贈り物を用意する必要はありませんし、多くの場合、そのような贈り物は不適切と受け取られかねません。 一般的な贈り物には、自国からの高品質な食品や伝統工芸品、製品などがあげられます。 簡単に共有できる箱入りのチョコレートやお菓子、スナック等は、ビジネス訪問の際に持っていくのに適した無難な手土産といえるでしょう。
贈り物は一グループにつきひとつで十分で、渡す際には、ホスト企業の中で最も年長者に手渡すのが一般的です。
贈り物はほとんどの場合、包装され、贈答用の袋に入れて準備されます。
贈り物の渡し方
会議に出席するときは、贈り物は会議テーブルの邪魔にならない場所か、近くの空いている席かテーブルの上に置くようにします。 特に食べ物が入っている場合は、床(地面)に置かないように注意してください。
贈り物は、ミーティングが終わって、席を立った後に渡します。 贈り物は、最も目上の人に近づき(テーブルを挟まないように注意)、両手で軽くお辞儀をして渡すようにしましょう。 贈り物については、大げさな説明等を加えず「故郷からのちょっとした贈り物です 」などと言うのが良いでしょう。

日本の食事マナー
ビジネスで会食に招待されたなら、それは日本人のビジネス相手と関係を築く絶好の機会となります。 より個人的な関係を築くことができるのは、大抵、食事中や食後に飲みに行く場面であることが多いのです。 大人数での正式な会議で取り上げるのが難しかったり、デリケートであったり、不適切であったりするような情報や意見は、このような機会に共有されることがよくあります。
席の配置
ビジネス会議の場合と同様、会食の席次はヒエラルキー関係によって決められることが多く、ゲストは大抵の場合、レストランの入口から遠い席や、ドアと反対側に案内されます。 日本人が主催者側である場合には、主催者があなたを席に案内してくれるのを待ちましょう。彼らは通常、テーブルの「上座」側の席に座るように示してくれるでしょう。
注文と食事
ホストが先に注文するのを待ち、彼らに従うようにしましょう。 多くの場合、食事は事前に注文されているか、全員に対してセットメニューが選ばれています。 提供されたものは少しずつでも全て試してみるのが礼儀正しい方法です。 日本のレストランでは、その場でアレルギーや宗教的な習慣、ベジタリアンやビーガン等の希望に対応することは難しい場合があるため、食事の制限事項については、会食の日程を調整する際に伝えるのがベストです。
箸は正しく使い、箸で食べ物を指さしたり、突き刺したりしないようにしましょう。 また、茶碗の中のご飯に箸を立てることは縁起が悪いとされ、避けなければいけません。
乾杯と飲み会でのマナー
日本の会食では乾杯が一般的に行われます。 最初の乾杯の音頭は主催者が取り、「カンパイ」と言うのが一般的です。 飲み物は、乾杯の合図があるまで飲まないようにしましょう。 他人に飲み物を注ぐ際には、両手でボトルを持ち、相手のグラスを満たします。 自分のグラスも他の人に注いでもらい、その際にも両手でグラスを持つのが礼儀とされています。
請求書の支払い
ビジネスの場面では通常、ホストが勘定を払います。 支払いの申し出をするのは礼儀正しいことですが、ホストが支払うという場合はその厚意をありがたく受け入れましょう。

人間関係の構築
仕事以外での交流
仕事以外の場で人間関係を構築することは、日本のビジネス文化において有益な習慣です。 夕食やスポーツなどの社会的活動に参加して、相手との絆を深めましょう。 これらの交流は、信頼関係を築き、円滑なビジネス取引を促進するのに役立ちます。
長期的なコミットメント
日本の企業は長期的なコミットメントと忠誠心を重視します。 定期的に連絡を取り合い、合意事項をフォローアップし、相手企業の健全性に関心を示すことで、献身的な姿勢を示しましょう。 一貫性と信頼性が、強固な関係を築くための鍵となります。
毎年、日本の企業に年賀状を送ることは、相手先を次に訪問するまでの関係を維持する上で、気の利いたアクセントとなります。
対立時の対応
日本のビジネス文化では、一般的に対立は避けられます。 意見の相違が生じた場合には、慎重かつ尊敬を持って対処しなければなりません。 相互にとって有益な解決策を見つけることに注力し、直接的な対立は避けてください。
多くの場合、対立は純粋に誤解やミスコミュニケーションから生じるものであり、解決しないままにしておくと不信感を招き、最終的には関係を危険にさらす可能性があります。

よくあるご質問(FAQ)- 日本のビジネス文化とマナー
以下は、日本ビジネスマナー研修の受講中、または受講後に寄せられた質問に基づくものです。
日本からの訪問団を夕食会に招待するのですが、当社と取引先の会社の人数が同数です。招待客に上下関係があることを考慮し、どのように席次を決めればよいでしょうか?
日本からのゲストをもてなし、ファシリテートしてきた弊社のこれまでの経験から、夕食会では、日本側のゲストがテーブルの片側に一緒に座るようにすると上手くいくように思います。特に、現地の言葉で会話するのが苦手なグループにとっては、最も快適なアレンジになる傾向があります。ゲストには部屋の入り口から一番遠い側、あるいは、その場の環境にもよりますが、一番眺めの良い席側に座って頂くことをお勧めします。この側が上座となるためです。日本人の招待客は、案内に従い、その後、グループ内の上下関係や実用性、言語能力などを考慮して、自発的に席を選ばれることでしょう。
このシナリオでは、2種類のヒエラルキー(上下)関係が存在することに注意する必要があります。1つはホスト側とゲスト側の関係、もう1つは各グループ内の上下関係です。日本人が、自分の会社のメンバーのみで食事をする場合、上座は部屋の入り口から一番遠い席か、テーブルの一番上の席となり、そこには上下関係で最も上位に当たる人が着席します。しかし、2つの会社が会食をする場合には、テーブルを左右に分けて着席し、各会社の最上位の方がテーブルの中央に座るのが一般的です。
当日の段取りが上記の通りにいかなかったとしても、心配する必要はありません。大切なのは、皆が快適で楽しい時間を過ごすことにあります。
特にフォーマルな席で、前もって席次を決めたり、レストランや会場に連絡したりする必要がある場合は、事前に相手方の上下関係を確認するよう最善を尽くすべきです。日本人は肩書きに「マネージャー」と入っていることが多く、時には本社と地方支社のスタッフが混在することもあるため、上下関係は必ずしも明らかではありません。この点について、相手側の担当者と事前に話し合っておいて損はないですし、先方もあなたの心遣いと準備を高く評価してくれることでしょう。上下関係が分かったら、最上位に当たるゲストをテーブルの中央(上座側)に案内し、他のゲストは上下関係に従って左右に扇状に着席してもらい、一番下位のゲストがそれぞれの端に案内されるようにすることをお勧めします。また、テーブルの反対側(下座)にいる自分の会社のメンバーについても同様のアレンジをするようにしましょう。
また、さらに考慮すべき点として、夕食会にプロの通訳者が同席するのか、それともゲストの一人が通訳を務めるのかという点があげられます。一般的に、非常にフォーマルな場では、プロの通訳者は通訳が必要な人の後ろに座ります(この場合、通訳者はグループと一緒に夕食をとることはありません)。しかし、通訳者も夕食に招待され、通訳をしながら一緒に食事をする場合には、別のルールが適用されます。この場合、通訳サービスの提供者であるプロの通訳者は、上下関係においては、その場にいるすべての人の中で一番下の位置にいることになりますが、必ずしも一番下の席に座るべきだということではありません。 夕食中に通訳が必要な人がいるグループの場合、通訳者がどこに着席するのが最も効果的かを、事前に担当者に確認するのがベストでしょう。
喪中の日本人の同僚に弔意を表し、サポートをする際の一般的なマナーはどのようなものですか?また、最近母親を亡くされた日本人の同僚を持つアメリカ人に対しては、どのようなアドバイスがありますか?
あなたは米国を拠点としているため、葬儀に参列することはありません。この場合、同僚にお悔やみのメッセージを送るのが適切かつ十分な対応と言えるでしょう。
あなたが日系企業で働いているのであれば、日本の本社で他の日本人の同僚がどのような対応をしているかを知ることも、役に立つかもしれません。
通常、日本人は西洋人よりも、プライベートと仕事を分ける傾向があります。しかし、家族(例えば親)を亡くした場合には、その訃報を同僚と共有することが一般的です。(実務的な理由から、葬儀やその他の手配のための休みを申請する際に、上司にこの情報を伝える必要がある場合もあります。)
大抵の場合、個人と関係が深い場合を除き、同僚は葬儀に参列しない場合が多いですが、直属の上司や部長などの場合は参列する場合もあります。特に中小企業の場合、取締役や社長が会社や同僚を代表して葬儀に参列することがよくあります。 いずれにしても、会社の方針や故人との関係、部署の対応などを考慮して判断します。
日本では、通夜や葬儀に参列する際、香典を用意するのが伝統的な習慣となっています。香典とは、葬儀費用の一部を賄うために、専用の封筒(黒と白の水引、または黒と白の水引のイメージを印刷したもので控えめに飾られている)に入れた金銭のことです。同僚の親族の葬儀が行われる場合、会社のスタッフは個人的に、あるいはグループとして、あるいは参列する代表者に一任して、香典を用意することができます。
ここで守らなければならないマナーがあります。結婚式などのお祝いの席では、新札を銀行から取り寄せて贈るのが普通ですが、香典の場合、新札を贈るのは失礼にあたるため注意が必要です。香典には、実際に流通していたことが明らかな古札を選ぶのがマナーです。
香典を受け取った遺族は、香典返しとして、故人の「忌明け」の法要後に、香典の半額程度の品物を送ります。
とはいえ、家族から香典を辞退するよう求められることもあります。特に葬儀が小規模で近親者のみで行われる場合や、香典返しを準備する負担を避けたい場合にそうしたお願いがされることがあります。
あなたの場合(日本国外の拠点にいる同僚の場合)、 香典を渡すことはお勧めしません。なぜなら、あなたは日本に住んでおらず、日本人でもなく、訃報を受け取った時点で葬儀がすでに終了している可能性があるためです。また、香典の手配は困難であることに加え、同僚にとって気まずい状況を引き起こしたり、同僚が香典返しを準備する必要が生じたりする可能性があります。また、あなたがアメリカに拠点を置いている場合、同僚が香典を渡さないように求めたかどうかを知ることは難しいですし、他の人が渡していない場合に香典を渡すことで、さらに気まずい状況を生む可能性があります。
日本では同僚同士が互いの家を訪問することはあまりありませんが、もし訪問するのであれば、同僚の家に亡くなったお母様のために用意された仏壇(家庭内に設置された仏教の祭壇)があるかもしれないので、訪問後すぐに仏壇の前に座り、線香を灯し、故人のためにお祈りを捧げる時間を持つのが良いでしょう。また、仏壇に供える花(菊が最も一般的で無難な選択と言えるでしょう)を持っていくのも良いかもしれません。これらの花はご家族ではなく故人のために供えるものであり、豪華なものを準備する必要はありません。この他、亡きお母様へ供するものとして、仏前に供えるお菓子を持っていくのも良いでしょう。
同僚と親しい間柄にあり、次に日本で会うときに何がしかの気持ちを表したいと思うのであれば、彼女の実家に行かない場合、菓子箱(長持ちするケーキやクッキーなど)を持っていくことができるでしょう。同僚と1対1になる場面で、再びお悔やみを述べ、お母様の仏壇にお供えしてくださいとの言葉を添えて、お菓子を渡すのが良いでしょう。
なぜ日本ではバレンタインデーに男性が女性にチョコレートを贈らないのですか?
高校生の頃、初めて日本に来た時、バレンタインデーに同級生の女性たちから1ダースほどのチョコレートをもらって驚いたことがあります。後で聞いたところによると、これは私が女性たちから特別にモテたからではなく、バレンタインデーに対する日本の考え方が欧米諸国と異なるために、義務として贈られたのだということが判明しました。日本で初めて働く外国人の多くも、同様に、日本のバレンタインデーの習慣が少し変わっていると感じるかもしれません。
日本では、2月14日は、男性が女性にチョコレートを贈る代わりに、女性が男性にチョコレートを贈る日です。この習慣は、1950年代後半に日本の製菓会社が行ったマーケティング・キャンペーンとして始まり、女性がチョコレートを通じて気持ちを表現することを奨励しました。時が経つにつれ、この習慣は日本文化に深く根付くようになりました。
関係性によって変わるチョコレートの種類:
- 本命チョコ – 恋人や片思いの相手に贈る。高級チョコレートが多く、手作りの場合もあり、美しくラッピングされている。
- 義理チョコ – 男性の同僚、上司、クラスメートや知人に社会的な礼儀として贈られるチョコレート。義理チョコのサブカテゴリーには、「超義理チョコ」があり、通常は人気のない同僚に贈られる安価なチョコレートのことを指す。
- 友チョコ – 友だちの間で、たいていは女性同士で交換するチョコレート。
- 自分チョコ – 自分へのご褒美として買うチョコレート。特に恋愛関係や職場での贈り物の義務にあまり関心がない若い世代の間で高まっているトレンド。
なお、男性も女性にチョコレートやプレゼントを渡しますが、それは2月14日ではなく、1か月後の3月14日、「ホワイトデー」として知られる日に行われます。この日、男性はバレンタインデーにチョコレートをくれた女性に対し、お返しとしてチョコレートやお菓子、その他のプレゼントを渡すことになっています。 この遅れて行われる返礼のシステムにより、バレンタインデーには女性が主導権を握り、ホワイトデーに男性が応じるという文化的な伝統が強化されていると言えます。
とはいえ、少なくとも私の経験から言うと、すべての日本人男性がホワイトデーのお返しを覚えているわけでも、返礼しようと努力しているわけでもありません。ホワイトデーを真剣に捉える人もいれば、それを見過ごしたり、最小限の返礼で済ませたりする人もいます。このため、この伝統は、時に、少し一方的に感じられることもあります。
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